▼悠々の杜自然歴史公園整備事業
温浴施設及び農林水産直売
食材供給施設設計プロポーザル
わたしたちは風のように消えゆく環境としての建築をつくりたいとねがいました。
「どこからともなく優しい風が渡り、どこからともなく柔らかい日が差し込み、どこからともなく小鳥のさえずりが?」
古今東西、神話や伝説の中で語り継がれた理想郷の表現には共通点があります。理想郷が万人の夢ならば「どこからともなく?」とは重要なキーワードです。すなわち、その対象を意識させずに、何にも制約されることなく、その快適さを楽しみ浸れることが最上の環境なのです。
豊かな自然と眺望を前に、温泉、新鮮な食材、おいしい食事、そして交流があります。ここでは訪れる人が主体であり、これらを楽しむことが目的で、それをサポートすることが建物の役割なのです。スペース・環境を用意しながら、建築の存在が消えていくことで、周囲の自然、人々の行為が浮かび上がってきます。よく目にする材料、どこにでもある切妻屋根が、ここでしか得られない魅力を引き立たせるのです。
これは無理のないあるがままの状態でもあります。力まかせの強引さを否定し、身近な材料を使って見慣れた単純な形を素直に造ること、その意図が訪れる人にも伝わり、リラックスできる環境となるのです。
建物の中にいながらそれを意識させないこと、求められる機能を十全に果たしながら、存在を感じさせないこと、透明で風景に溶け込むことが、この場所に建つこの施設に求められるのだと考えます。
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2004/05/11 01:43